TOP > 事例紹介 > 見る町家1
データ 改修概要
 □用途/住宅
 □建築年次/大正7年
 □延べ面積/約115u
 □設計/むとう設計有限会社
     武藤 清秀(歴史的建造物修復士)
 □施工/清光建築
     中村 清光(歴史的建造物修復士)
 □外部 
  屋根瓦の改修、外壁漆喰塗替、室外機の移設
 □内部
  内装改修、水回りの改修(台所、洗面室、浴室、トイレ)

 金沢市の「まちなか住宅リフレッシュ支援制度」の
 活用により100万円の改修費補助
 (外  観)
 2階出窓、出格子部分は昭和になって施されており、建築当初とは表情が異なっているが、今回は1階と同様、修理に留め現況の形を残している。
 (内  部) 玄関から通り庭 土間を見る
 
建築当初、通り庭であった部分は床が貼られ、台所として利用されていた。
 今回、床を撤去し、土間は三和土(たたき)の通り庭に復原している。
設計士のこだわり 大工のこだわり
建築当初の姿のいいところを活かしたい 当初材料と新しい材料を違和感なく使う
 設計の依頼を受け、まず柱の傾斜・不同沈下、床下の調査などの現況調査を行いました。調査の結果は、90年経過しているものの、建物の歪みは少なく、構造もしっかりとしており、床組の腐食もそれほではありませんでした。それでも、まず柱の歪みを取り除き、それに伴って小舞(こまい・竹やよし等を縦横に組んだもの)下地を修理し、土塗壁を復原しました。

 大壁(おおかべ・柱が見えない壁)を真壁(しんかべ・柱が見える壁)に、天井は当初の根太天井(ねだてんじょう・天井仕上げ材がなく2階の床組が見える天井)に復原し、床が貼られていた通り庭を当初の土間の姿に復原しました。

 なんでも新しくするのではなく、傷んだものだけを取り替え、使える材料は使って、新築と一味違った落ち着いた雰囲気を感じてもらえたらと思います。

 この町家を建てた棟梁の思いを見抜き、そのいいところを活かしたいという思いで設計しています。

 造りが小振りなため、材料の出し入れや行き交う職人の調整に気を遣いました。既存の部材に配慮して解体作業は全て手壊し、搬出も手作業で行いました。 

 階段は緩い勾配に造り替え、使い勝手をよくしました。新しい材料を使った床などは、時間の経過を計算に入れ、あえて新しい材料に古色塗りをして、当初材料にあわせることはしませんでした。これが材料を違和感なく使うコツです。
 根太天井のため、電気等の設備配線、配管の位置を考え、天井がすっきり見えるように工夫しました。

 内壁の土塗壁は、乾燥を待ちながらの作業だったので、工期は多少長くなりましたが仕上がりは抜群です。
 施主さんに喜んでいただいています。
金沢市のまちなかには、昭和25年以前に建てられた木造建築物は約8,700棟(平成19年1月現在)あります。しかし年々、空家化、老朽化に伴い解体されている現実があります。
 現在、空家になっている町家は以前は住んでいた家族と共に時を過ごしてきました。このまま空家の状態が続くと老朽化が進み、現代では得難い材料を用いた町家や当時の大工さんが屈指の技術を凝らした木造伝統工法も消滅してしまいます。
 空いている町家を探してみて、住まうことにより、皆さんも金沢の町家の持つ歴史を後世につなぐ一端を担ってみませんか。町家は再生の期を心待ちにしています。
かなざわ定住推進ネットワーク
(問合先)金澤町家流通コンサルティング事業者
NPO法人金澤町家研究会
   電話/FAX 076−254−0647