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平成17年7月に開設した金澤町家情報バンクでは、これまで多くの物件を掲載・紹介してきました。
 登録物件掲載については、物件の掘り起こしに苦労していますがその反面、掲載すれば『契約』され、あっという間に【済】となるほどで、買い手側の関心と人気の高さがうかがえます。
 今回は野町の町家10の売買事例をご紹介します。
                                          平成20年1月31日
金澤町家情報バンク掲載物件 10

  所在地/野町
  町家バンク登録/平成17年8月
  売買契約/平成18年10月 
  物件概要/大正7年築
         木造2階建て
         間口3間 奥行き9間
         外観はほぼ当初のまま
         敷地奥に庭がある
         駐車スペースなし

 売り主さんに聞く 買い主さんに聞く
思い入れのあるものをそのまま 町家情報バンクで見つけた憧れの暮らし
  この町家は昭和53年に購入し、私の母が住んでいました。お茶をたしなみ、短歌を詠みながら庭を眺める、この家の生活を満喫していました。庭には、小さい頃から目にし、思い入れのある灯籠や手水鉢があり、庭の手入れを楽しむ母の姿が思い出されます。

 この家も10年程前から空家となり、家の中に風を通したり、庭木の手入れや冬場の除雪などなどの管理をしてきました。しかし、管理を続けることが大変でいっそのこと、この家を壊して売却しようか、建て替えをして子供にどうかとも思い、住宅メーカーに相談したところ、「町家を壊すのはもったいない。残したらどうか。」とアドバイスを受けました。そこで不動産屋さんに相談し、この家を残し、今後も使ってくれる方、住んでくれる方が購入してくださることを希望し、売りに出すことにしました。

 町家情報バンクには、その不動産屋さんを通じて掲載することとなり、売買契約の運びとなりました。今では、このことをきっかけに情報バンクを時々見ます。金沢の風情が感じられる建物を残すことはいいことで、そこに住み続けてくれることはうれしいことです。

 思い入れのある、庭の灯籠・手水鉢、茶の間に馴染んだ茶棚は、私の希望をつなげて下さった次の方へ、そのまま受け継ぎたいと思い、お譲りしました。散歩で通りかかると、懐かしさとうれしさで思わずにっこりです。


 私も妻も、金澤町家で生まれ育ちました。結婚を機に、新たな住まいを考えていました。二人の中では「新築」と「町家」の選択肢がありましたが、町家育ちの私たちは、「畳がある、落ち着いた暮らし」を望んでおり、新築でも和式を存分に取り入れた住宅にしたいと考えていました。私の中には、以前から風土に根ざした建物への興味と趣向があり、そういう趣のある家に住まうという憧れがありました。

 しかし、憧れに留まっていた意識が更に発展したきっかけは「情報」でした。インターネット等で町家の改修事例をみて、初めて「改修して住む」という考えが芽生え、暮らしのイメージができてきました。

 ちょうどその頃、町家情報バンクが立ち上がったことを新聞等で知り、情報バンクで町家を探しました。実家に近い、まちなかで通勤にも便利、土地建物のサイズが丁度良い条件に合った町家を、情報バンクの中から見つけました。
 購入の決め手は、駐車スペースはありませんが、それを犠牲にするだけの価値のある建物の造り、構えであったことです。また、購入にあたり、町家に精通した設計士さんに相談できたことが心強かったです。

 私の中で、買う→改修する→住むというイメージの流れができ、実際に売買契約を結び、改修を終え、心地よい町家暮らしを始めています。売り主さんに大変感謝しており、大切に引き継いでいきたいと思っています。

売り主さんと買い主さんの町家に対する思いが一致した事例です。
買い主さんは現代の住まい環境を取り入れつつ、金沢市の「まちなか住宅リフレッシュ支援制度」を利用し、建築当時の町家の原形を残しながら、建物の外観、水回り部分の改修を行いました。